小野町の歴史
掲載日:2012年3月23日更新
『小野小町』
平安時代を、日本を代表する女流歌人、小野小町。
生い立ちや、晩年彼女の一生に関わる事柄多くの謎に包まれています。
唯一「小野小町」を実像で知り得るのは「和歌」だけです。
日本史の中で女性は決して好待遇ではありません。
かの紫式部や清少納言でさえ、今で言うところの本名は不明です。
わが町小野町は、小野小町の生誕伝説の残る町です。
美しい小野小町は美しい緑と澄んだ空気に包まれた小野町で産声を上げたのです・・・。
平安時代の初め頃、東北地方は「道奧国(みちのく)」と呼ばれていました。
みちのくの山間の小さな町「小野荘(おののしょう)」に文人として名高い「小野篁」が荘を繁栄させるべく都から赴任してきました。
篁ははじめ、矢大臣山の麓に舘をかまえておりましたが、しばらくすると今の谷津作の下都に居を移しました。
そこには一人の美女が仕えておりました。
名前は「愛子(めづらこ)」といいました。
愛子は篁に見初められ、二人の間に玉のように美しい姫が誕生しました。
そう、この姫君こそ「小野小町」なのです。
小町は幼名を「比古姫」といいました。
篁、愛子、比古姫の三人の暮らしは長くは続きませんでした。
篁は都から来ていた人ですから、宮中の要請で戻らなくてはいけません。
そして、とうとうその日がやってきました。
比古姫が6歳になったある日、都からの使者篁の元へとやってきました。
篁は美しい比古姫を京の都で育てようと、 連れて行くことにしました。
しかし愛子はこの地に残ることになったのです。
篁と比古姫がこの地を離れてから愛子は、ずっと二人の帰りを待っていました・・・。
小町の残した和歌
花の色は 移りにけりな いたづらに
わが身 世にふる ながめせしまに (古今和歌集 巻第二 春歌 下)
【現代語訳】
花の色、私の美しさも、もう衰えてしまった・・・
若い頃はあんなにも美しかった私の身はすっかり老いてしまった
美しく咲き誇っていた花が、長雨に打たれて色あせていくように・・・
『日本古典文学全集 第7巻 古今和歌集』(小沢正夫/校注・訳 1978年第8版)より
小野小町 関連書籍
『小野小町伝記研究 ‐王朝女流文学先駆者の研究‐』(横田幸哉/著 風間書房 1974年刊行)
この資料は、小野小町をあらゆる角度から研究しています。
まさに小町研究のバイブル的存在かと思われます。
著者は、小野町出身です。
『小野小町追跡 ‐「小町集」による小町説話の研究‐』(片桐洋一/著 笠間書院 1993年改訂新版)
「小町集」を根底に置き、小町説話を研究しています。研究書ながら、分かりやすい言葉で書かれていますので、一読をおすすめします。
『小説 小野小町 吉子の恋』(三枝和子/著 読売新聞社 1992年刊行)
小野吉子が五節の舞姫に選ばれた。
当代きっての文人と言われる小野篁の娘「吉子」。
天女の再来、本朝随一の美女といわれる16歳の この姫君のお出ましに、若い殿上人たちはかの姫が舞う日を心待ちにしていた・・・。
謎の美女「小野小町」をあらたな切り口で小説にしました。
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